診療・各部門
臨床工学技士とは…
臨床工学技士とは、医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う事を業とする医療機器を専門に扱う医療職種です。
臨床工学技士は医師をはじめ、看護師などのコメディカルと共に医療機器を用いたチーム医療の一員として生命維持をサポートしています。
臨床工学部の特色
当院の臨床工学部は、現在12名の臨床工学技士で構成されています。
週休2日や年次休暇、夏期休暇などを希望日に取得でき、プライベートを充実させながら、新鮮な気持ちで日々の業務に就いています。
臨床工学技士新人研修制度
当院では、幅広い分野において臨床工学技士の活躍の場が用意されています。
新人の方は、血液浄化部門、ME機器管理部門、人工呼吸器部門、循環器部門、内視鏡部門をローテーションで研修します。
ひとつの分野に偏ることなく、当院で経験できる全ての業務内容を研修することで、総合的な知識・技術を持った人材を育成します。
保有認定資格
当院の臨床工学技士は、これらの資格を取得しています。
保有認定資格 | 人数 |
---|---|
臨床工学技士 | 12名 |
臨床検査技師 | 1名 |
透析技術認定士 | 3名 |
3学会合同呼吸療法認定士 | 2名 |
第2種ME技術者 | 9名 |
MDIC認定者 | 1名 |
ITE | 1名 |
消化器内視鏡技師認定 | 1名 |
認定血液浄化臨床工学技士 | 1名 |
心・血管カテーテル関連専門臨床工学技士 | 1名 |
各部門の紹介
血液浄化部門
【1】 血液透析業務 腎臓は体内の水分調整(尿排出)や老廃物の除去、カルシウム吸収など重要な機能を携えた臓器です。血液透析とは、これらの腎臓の機能の一部を代行する治療法です。当院は県下で初めて人工透析室を開設した病院です。当院の特徴として、RO装置にナノフィルトレーション膜や熱水消毒を採用し、ウルトラピュアな透析液作成に取り組んでいます。また、On-line HDFや、無酢酸透析液を一部使用し、患者さんひとりひとりの症状に合わせた透析療法を提供しています。透析装置は定期的に点検し、安全管理に努めています。
【2】 在宅血液透析 患者さん自身のライフスタイルに合わせて自宅で透析を行うことができ、頻回透析や長時間透析が可能で、透析合併症のリスクを低減することができます。その為の教育・訓練や準備・支援をおこない、24時間体制でのトラブル対応をおこなっています。
【3】 急性・特殊血液浄化業務 急性血液浄化とは、循環不全・代謝不全などの治療の一環として分離器・濾過器・吸着器等を用いて生体内の病原物質の除去や正常に働かない生体機能の代行または、補助を行う治療法です。 下記のような治療法を医師やコメディカルと連携しておこない、緊急時にも対応します。
≪ 実績 ≫
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|
エンドトキシン吸着療法 | 0回 | 2回 | 2回 | 2回 |
血漿交換 | 0回 | 0回 | 0回 | 3回 |
持続緩徐式血液濾過透析 | 28回 | 12回 | 41回 | 22回 |
白血球除去療法 | 0回 | 15回 | 0回 | 0回 |
ME機器管理部門
ME機器(医療機器)管理とは、医療事故の防止と効率的な機器の運用を目的として、機器の購入(機種検討)から登録,点検修理を経て廃棄(登録抹消)に至るまでを一元管理することです。複雑で高度化する医療機器の操作方法などを院内教育することも、重要な役割となっています。
ME機器管理業務では、生命維持管理装置をはじめ、院内のあらゆる医療機器の保守、点検、故障やトラブル対応を行い、安全に使用できるように努めています。 また、定期的な院内研修会を開催し、ME機器の適切な取り扱い・知識の向上を図っています。手術室では自己血回収装置、超音波手術システム、YAGレーザ、などの機器の操作を行っています。
人工呼吸器部門
人工呼吸器とは、自身の力だけでは十分な呼吸ができなくなった患者さんに、補助的または強制的に呼吸をおこなわせる生命維持管理装置です。
人工呼吸器業務では、院内ラウンドによる一日一回以上の使用中点検をおこないます。また、医師やコメディカルと相談し、人工呼吸器の設定や患者さんのケアを手伝います。その他、単回使用毎の始業点検、半年毎の定期点検、使用方法についての研修会の開催など、人工呼吸器の安全な運用に努めています。
≪ 実績 ≫
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|
稼働日数 | 707日 | 535日 | 785日 | 604日 |
循環器部門
【1】 心臓カテーテル業務 カテーテル(管)を心臓に挿入し、心臓の圧の測定、心臓の血管の状態の観察、心臓全体や、弁の動きを観察する検査をおこないます。狭心症や心筋梗塞の原因となっている場所がある場合は、その治療も行います。 また、心臓のカテーテル検査だけでなく、下肢血管の狭窄に対するカテーテル治療や、透析患者さんのシャント造影・経皮的血管形成術も行っています。
心臓カテーテル業務では、治療の記録、ポリグラフやIVUSの操作、計測をおこない円滑な治療のサポートをおこなっています。時には一時ペーシング、IABP、PCPSなどの業務もおこないます。
≪ 実績 ≫
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|
CAG | 126件 | 142件 | 108件 | 113件 |
PCI | 52件 | 73件 | 49件 | 62件 |
AMI | 6件 | 4件 | 6件 | 6件 |
EVT | 10件 | 20件 | 15件 | 18件 |
シャントPTA | 26件 | 25件 | 7件 | 24件 |
【2】 ペースメーカー業務 ペースメーカーとは心臓に電気刺激を送り心筋を興奮させて心臓を収縮させる医療機器で、一般に徐脈の患者様に対して植え込みます。 具体的には心拍数があらかじめ設定した一定値を下回ると、電気刺激を加えて心臓を収縮させることで脈拍を増加させます。
ペースメーカー業務では、新規植え込み、交換時のプログラマー操作、ペースメーカー外来(6ヶ月毎)受診時の動作チェックと測定データの一括管理をおこなっています。
≪ 実績 ≫
ペースメーカー新規植え込み17件9件16件
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
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ペースメーカー新規植え込み | 9件 | 16件 | 10件 | 10件 |
ペースメーカーチェック | 269件 | 262件 | 193件 | 191件 |
ペースメーカーチェック(遠隔) | 348件 | 654件 | 725件 | 797件 |
内視鏡部門
内視鏡による胃や大腸の検査を始め、消化管出血による止血やポリープ切除術などを行っています。また、超音波内視鏡検査や組織の採取により、病変の診断をし、早期胃癌に対しては粘膜下層剥離術をおこなっています。
内視鏡業務では、装置へのスコープ(カメラ)の取り付けなど、医師の介助を行い円滑な業務をサポートしています。また、粘膜下層剥離術において電気メスの設定などの操作を行い、多職種における業務を安全に遂行できるよう取り組んでいます。 また、RFA(肝臓の悪性腫瘍に対する治療法のひとつで、専用針を腫瘍に刺し、高周波電流を流すことにより凝固壊死さる、侵襲性の低い治療法)では、焼灼範囲を最小限に抑えるために、適切に機器の操作をおこない、医師とコミュニケーションを図りながら出力調整をおこないます。