臨床検査部

診療・各部門

基本方針

臨床検査部では、技師長以下19名の臨床検査技師及び事務員1名により構成され、検査部長の指導のもと、当院の病院理念に基づき、


1. 検査部の資質を向上させる

2. 医療安全対策を推進する

3. 施設内連携を強化する

4. 病院の安定経営に寄与する


を基本方針とし、

「正確な結果を迅速に臨床へ提供すること」

「臨床からの問い合わせや要望に対して真摯に対応すること」

を心がけています。

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受付・中央採血室

入院患者さんはオーダーリングにより前日16:00までに予約されたものに関して、中央採血室においてバーコード付採血容器を準備し、各ナースステーションへ搬送します。外来患者さんは中央採血室において受付し、順番に採血します。そしてリニア搬送機で検体検査室へ搬送し、各検査を実施します。

●自動採血管準備システム:BC ROBO8001(テクノメディカ)



一般検査室

尿定性検査、尿沈渣、便潜血検査、便虫卵検査、体腔液検査、穿刺液検査を実施しています。

<尿定性・尿沈渣検査>

痛みや苦痛なくできる検査で、腎疾患や肝・胆疾患、糖尿病などの疾患の推測や、健康診断の基本の検査として幅広く用いられます。

<便潜血検査>

大腸癌の早期発見のためのスクリーニング検査として用いられ、検出の感度を上げるため、原則2日法で検査を行っています。

<便虫卵>

顕微鏡にて、便中の虫卵・虫体の鑑別を行います。

<体腔液・穿刺液・気管支洗浄液検査>

髄液、胸水、腹水、心嚢液、腹膜透析廃液、気管支肺胞洗浄液の白血球細胞数検査を顕微鏡で行っています。 炎症や感染症、癌など様々な疾患が原因で細胞数(白血球数)が変化し、白血球の種類の割合も変化します。


 

析機

●尿定性自動分析器:クリニテックノーバス(シーメンス)

●尿沈渣自動分析器:UF-1000i(シスメックス)

●全自動便潜血分析器:OCセンサーDIANA(栄研化学)



血液検査室

血液の成分(赤血球・白血球・血小板など)の数や機能、血液の止血機能に関する検査を実施しています。

・赤血球:酸素を運びます。血液が赤いのはこの中にあるヘモグロビンが赤いためです。減少すると貧血になります。

・白血球:細菌やウィルスなど体に対する異物と戦います。戦っている時は数が増えています。まれに白血球がガン化することが有り、それを白血病と呼びます。

・血小板:出血した時に血液を固まらせて、それ以上出血するのを防ぎます。減少すると出血が止まりにくくなり、さらに減少すると怪我をしていなくても自然に出血するようになります。

<末梢血一般検査>

赤血球数・白血球数・血小板数・ヘモグロビン量の測定をします。それぞれの増減を調べる体内の状態を調べる上で欠かせない検査です。

<血液像検査>

白血球の種類には好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球があります。その割合を顕微鏡で見て調べます。また、赤血球・白血球・血小板が正常な状態 かを分析します。さらに詳しく調べる時には採取した骨髄も顕微鏡で見て分析します。

<止血・線溶検査>

血液は血管の中では固まりませんが、外に出ると固まります。これには多くの因子が働いています。それらが正常に作用しているかどうかを調べます。出血が止まりにくい病気には血友病などがあります。体内で血液が固まりやすくなって起こる病気には心筋梗塞などがあります。

分析機器

●自動血球計数装置:XR-2000(シスメックス)

●全自動血液凝固測定装置:CS-2500(シスメックス)

●全自動免疫測定装置:HISCL-800(シスメックス)

輸血検査室

輸血関連検査(血液型・不規則抗体・交差適合試験)を実施し、迅速に安全な輸血が提供できるよう輸血用血液製剤の管理をおこなっています。

輸血療法とは病気や出血などで不足した血液成分(赤血球・血漿・血小板・アルブミン等)を補う治療法の一つです。

当院では、危機的出血時には救命を第一優先とし、必要量の輸血療法を実施します。

<血液型検査>


輸血で最も重要視される検査です。ABO血液型(A型・B型・O型・AB型)とRh血液型(RhD+・RhD-)を調べていますが、必要時にはそれ以外の血液型も分析します。

<不規則抗体検査>

過去の輸血・移植や妊娠などがきっかけで、産生される可能性のある赤血球に対する抗体(不規則抗体)の有無を調べます。不規則抗体が有る場合にはその抗体を特定し、適合した血液を準備します。

<交差適合試験>

血液型検査と不規則抗体検査の後、輸血をする前には患者さんの血液と輸血用血液製剤の反応を確認します。これで凝集や溶血などの反応が認められないものを適合血として提供します。

<輸血副反応の有無を確認>

>近年の輸血用血液製剤は安全性が高まっていますが、輸血による副反応のリスクはわずかに残ります。輸血が実施されたあとも、副反応の可能性がないか随時必要な検査を実施しています。



分析機器

●全自動輸血検査システム: VISION SWIFT(オーソクリニカルダイアグノスティックス)



【輸血療法管理】

迅速に安全な輸血を提供できるよう、また献血者から提供されたものである輸血用血液製剤を無駄にしないよう、24時間体制で輸血に備え輸血用血液製剤を厳格に管理しています。

安全な輸血療法は安全なプロセスの上に提供されます。輸血関連検査と輸血用血液製剤の管理業務のみならず院内の輸血療法全体を、輸血責任医師・認定輸血検査技師・学会認定臨床輸血看護師が主軸となり管理しています。

生化学・免疫検査室

 生化学・免疫検査室では以下の検査を実施しています。

・糖質検査    血糖やHbA1c(ヘモグロビンA1c)など糖尿病に関する検査

・脂質検査    コレステロールや中性脂肪、HDL-コレステロール、LDL-コレステロールなど脂質異常に関する検査

・肝機能検査   AST、ALT、LD、γ-GTなどの酵素項目やビリルビン、アンモニアなど肝代謝検査

・腎機能検査   UN、Creなど腎機能検査項目や推算糸球体濾過量eGFRを実施

・電解質や微量元素   ナトリウム・カリウム・クロール、鉄、マグネシウム、亜鉛

・腫瘍マーカー  PSA、AFP、CEA、CA19-9 NCC-ST-439 CA15-3など

・感染症     B型肝炎に関する検査項目(HBsAg、HBsAb)C型肝炎に関する検査項目(HCVAb)


 

【じん教室】

隔月で「腎臓の検査あれこれ」というテーマで腎臓に関する検査について、イラストを交えてわかりやすく丁寧に説明しています。


 

【糖尿病教室】

血糖やHbA1cなど糖尿病に関する検査について説明しています。


 

【NST(栄養サポートチーム)】

低ALB患者一覧を作成、NSTラウンドでは臨床検査技師の立場から検査項目の提案などを行っています。


 

分析機

●生化学自動分析装置:ラボスペクト008α ラボスペクト006(日立ハイテク)

●免疫自動分析装置:アーキテクトI2000SR(アボット)

●免疫自動分析装置:ルミパルスG1200(富士レビオ)

●血糖・HbA1c自動分析装置:GA-1171 HA-8182 (アークレイ)

●血液ガス分析装置:RAPID POINT 500e(シーメンス)

●アンモニア測定装置:NX-10N(富士フイルム)

●臨床検査システム:CLINILAN GL2(A&T)

微生物検査室

検体中の病原微生物の同定や抗菌薬に対する薬剤感受性を調べる検査を行っています。また感染制御部の実働部隊である感染対策チーム(ICT)並びに抗菌薬適性使用支援チーム(AST)の一員として、感染症の予防や診断・治療に必要な情報を提供するという役割を担っています。

一般細菌検査、抗酸菌検査

顕微鏡検査、培養同定検査、薬剤感受性検査により病原微生物を明らかにし、感染症診療に有用な情報を提供します。さらに耐性菌等の検出時は速やかに報告し、安全・安心な医療につながるよう努めています。

感染症遺伝子検査

結核菌、非結核性抗酸菌等をPCR法により検査しています。また新型コロナウイルスのような新興感染症に対応できる体制を確保する為、臨床検査部全体で取り組んでいます。

感染対策チーム(ICT)、抗菌薬適性使用支援チーム(AST)

各種微生物検査で得られた情報を、感染対策並びに抗菌薬適性使用支援の為に提供しています。またこれらの活動を通して他施設とも情報共有を行い、地域医療の連携にも貢献しています。



分析機器

●微生物感受性分析装置:IA40MIC-i(栄研化学)

●血液培養装置:BACTEC FX(ベクトン・ディッキンソン)

●全自動遺伝子解析装置:GENECUBE(東洋紡)

●リアルタイム濁度測定装置:Loopamp EXIA(栄研化学)

病理検査室

病理組織検査、細胞検査(細胞診)、病理解剖(剖検)を実施しています。

いずれも「病変を肉眼的および顕微鏡下に観察し、悪性かどうかを形態学的に判断する」ことが主な役割です。



<病理組織検査>

生検(治療方針を決めるため、病変の一部を切り取る)および手術により切除された組織を処理し、標本(顕微鏡で観察できるように薄く切り、染色したもの)を作製します。当院は、非常勤病理医(滋賀医科大学)により病理診断が行われます。手術中の術式決定のために行われる「術中迅速検査」の場合は、スライドガラス標本をバーチャルスライド(Whole slide imaging: WSI)化し、作製したWSI画像を滋賀県遠隔病理診断ネットワーク(PaLaNA Cloud Service)に取り込むことで、遠隔病理診断(テレパソロジー)を可能にしています。

<細胞検査(細胞診)>

2名の細胞検査士により、スクリーニング(スライドガラスに塗抹された細胞を顕微鏡下に観察し、正常か異常かをふるい分ける)および判定を行います。細胞診断は、細胞診専門医(非常勤)により行われます。細胞診は、尿などの液状検体についても調べることができます。また、比較的患者さんの苦痛や負担の低い検査です。

<病理解剖(剖検)>

詳細な死因の究明と医学的検討のため、ご遺族の承諾を得て、ご遺体を解剖します。解剖することにより、治療の適切性を評価することができます。また、生前には判明しなかった病態が見つかることもあります。これらは将来の医療に大きく貢献します。病理解剖の診断結果は、臨床病理カンファレンス(CPC: clinico-pathological conference)において、臨床医とともに議論、検討されます。



使用機器

●自動パラフィン浸透装置:Tissue-Tek VIP5 Jr.(サクラ)

●包埋センター:Tissue-Tek エンベディングコンソールⅣ(サクラ)

●ミクロトーム:Tissue-Tek Sledge Microtome IVS-410(サクラ)

●自動染色装置:DRS-601(サクラ)、サクラサイトステインRSP-50(サクラ)

●凍結切片作製装置:Tissue-Tek Polar D(サクラ)

●WSI画像作製装置:Nanozoomer-RS(浜松ホトニクス)

生理検査室

生理検査室では、心電図検査・肺機能検査・血圧脈波検査(ABI)・尿素呼気試験・ホルター心電図の装着・24時間血圧測定検査・脳波検査・各種超音波検査などを実施しています。また、睡眠ポリソムノグラフィ検査も行っています。



〈心電図検査〉

四肢と胸部に電極を装着し、脈の乱れ(不整脈)や狭心症(心筋梗塞など)の疑いを調べるスクリーニング検査として有用です。

〈肺機能検査〉

この検査は、吸ったり吐いたりできる空気の量や、息を吹き出す強さを測定し、肺が正常に機能しているか調べる検査です。限界まで息を吸ったり吐いたりしていただきますので、少ししんどい検査ですが、肺の機能を知るには重要な検査になります。

〈血圧脈波検査〉

上腕と足首の血圧を同時に測定し、動脈硬化の程度や動脈の狭窄度合いを調べる検査です。

〈尿素呼気試験〉

検査用の錠剤を飲む前と飲んだ後の呼気を集めて、呼気中の成分の変化で、胃や十二指腸にピロリ菌が存在しているか、活動性を持っているかを調べる検査です。

〈ホルター心電図検査〉

日常生活において、『心拍数はどれくらいか』『どのような不整脈がどれくらいの頻度で出現するか』『動悸や息切れ、めまいなどの症状の原因がないか』などを調べる検査です。通常の心電図検査では捉えられない不整脈や発作時(症状がある時)の心電図波形を記録します。

〈24時間血圧測定検査〉

血圧は様々な要因で変化します。『普段は高くないが病院では高くなる』『朝方のみ高くなる』『夜間も高い状態が続く』『お薬の影響で血圧が下がりすぎている』など、日常生活において、どのような血圧変化があるか調べる検査です。利き腕の反対側の上腕に血圧計のカフを巻き、肩から機械をぶら下げた状態で24時間、日常生活を送っていただきます。

〈脳波〉

頭部にたくさんの電極を装着し、脳からの信号を記録します。脳になんらかの障害が存在すると、通常では見られない異常な波として現れることがあり、この波を見つけることを目的としています。

〈超音波検査〉

・腹部:肝臓・腎臓・膵臓・胆嚢・膀胱・腹部大動脈などを観察し、脂肪肝、胆石腎結石、腫瘤、大動脈瘤など様々な疾患を発見することが出来ます。

・甲状腺・乳腺:甲状腺や乳腺超音波検査では、それぞれ首や胸に超音波をあて、甲状腺の大きさや乳腺症、良性腫瘤や悪性腫瘤などがないか調べます。

・心臓:心臓の動き(収縮する力)や心臓の弁の状態(狭窄や逆流)、心臓の構造を調べます。

・頚動脈:頚動脈(首の左右両側)に超音波をあて、動脈壁の観察をします。

・下肢静脈(DVT検索のみ):足にむくみがある場合や、長期の安静などで血栓ができるリスクのある場合に、深部静脈に血栓がないかを調べます。

〈睡眠ポリソムノグラフィ検査〉

睡眠時無呼吸を調べる簡易検査機器の貸し出しを行い、簡易検査で睡眠時無呼吸が疑われる場合には、一泊入院していただいて、より詳しい検査を行っています。



使用機器

● 心電計:CardiofaxV 1400, CardiofaxG 2550(日本光電)

● 肺機能検査システム:CHESTAC8900(チェスト)

● 血圧脈波検査装置(ABI):VaSera 2500(フクダ電子)

● 炭酸ガス炭素同位体比分析装置:POC one PULS(大塚製薬)

● ホルター心電計:RAC-3203(日本光電)

● 携帯型自動血圧計:TM-2431(A&D)

● 脳波計:EEG 1218(日本光電)

● 超音波診断装置:Xario100(Canon), Aplioα Verifia(Canon),EPIQ Elite(PHILIPS)

● 睡眠ポリソムノグラフィ検査装置:SOMNO HD(フクダライフテック)



保有認定資格

当院の臨床検査技師は、これらの資格を取得しています。

保有認定資格 人数
超音波検査士(循環器) 1名
認定心電検査技師 1名
二級臨床検査士(循環生理) 1名
心血管インターベーション技師(ITE) 1名
心電図検定1級 2名
睡眠健康指導士 1名
日本睡眠学会認定検査技師 2名
国際細胞検査士 2名
細胞検査士 2名
認定病理検査技師 1名
二級臨床検査士(病理学) 2名
有機溶剤作業主任者 1名
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者 1名
二級臨床検査士(微生物) 1名
NST専門療法士 2名
日本糖尿病療養指導士 1名
滋賀糖尿病療養指導士 1名
認定臨床化学者 1名
認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師 1名
医療関連サービスマーク調査指導員 1名
二級臨床検査士(臨床化学) 1名
認定輸血検査技師 1名
輸血I&A視察員 1名
認定一般検査技師 1名
臨地実習指導者 1名
第一種衛生管理者 1名
臨床工学技士 1名